ろおどおぶぱぱ

子を宿し妻に寄り添う夫コパの日記

わが子、誕生!!

昼、職場で呼び出された。

お母さんから電話がかかっていると。

妻に何かあったことを悟る。

ついに陣痛が始まったのか、入院やろか。

電話に出ると、義母の声。

「産まれました」


え?そんなことあります?

声に出ていた。

朝、窓から見送ってくれた妻。

お腹が膀胱を抑えるので、

尿が出にくく、何度もトイレに行っていた。


僕が家を出てからまもなく破水。

ぽたぽたと自分では止められない。

妻は義母に電話、

義母がかけつけ、病院へ。

病院側のコロナ対策で、義母はいったん帰宅。

ほどなく妻の陣痛が始まる。

痛みに耐えられず看護師さんを呼ぶと

子宮口が開いてる!と叫ばれ分娩室へ。

陣痛開始から3時間で出産。

義母が駐車場を探してる間に産まれた。

立ち会いもなく、妻はほんまに頑張った。

力むと赤ちゃんに酸素が行かんから、

呼吸をするように言われる。

でも、息を吸ったとたん、激痛が襲う。

初産なので、赤ちゃんを出すために出口を切開。

そんな中、麦茶をストローで補給。

赤ちゃんの頭が出た時、

痛みは嘘のように治まった。

「へその緒、自分で切りますか」

と言われ、そんな気力なく、

「切ってください」と頼んだらしい。

あっという間の出来事。

でも、妻にとっては長い時間。

思い返しても相当な痛みを伴ったと言う。

歯医者の痛みなんて比べ物にならんくらい。

出口の切開部を縫合するときも、

麻酔が効かず痛かったという。


そんなこともつゆ知らず、

僕は義母の電話の内容を上司に報告。

「そんなことあります?」との戸惑いが、

逆に不幸があったのではと、

周りに心配かけてたよう。

上司は「今すぐ行きなさい」と言ってくれた。

職場を飛び出し、タクシーで病院に向かう。

というか、まだ予定日の3週間前やのにという

きつねにつままれたような心境。

そういや一昨日、

早く出てくるんやでとお腹に囁いたっけ。

それが素直に出てきたもんやわ。


タクシーの中で、義母からのライン。

写真や動画が送られてきた。

産まれたての赤ちゃんと元気そうな妻の顔。

妻はピースしてる。

てか、先に見てしもたやん、わが子の顔。

なんか、自分の子という感じはしない。

ほんまなんか?ほんまに産まれたんか?

こぞってドッキリでしたとかやないんか?


タクシーを降りて、受付へ。

名前を告げると「どうぞお上がりください」と。

階段をのぼり廊下に出る。

事前に聞いていた個室番号を探し、

ノックしてドアを開けると、、、

誰もおらん。

妻の荷物はあるから、部屋は間違ってない。

妻と義母はどこへ?


迷っていると、義母が現れた。

妻は陣痛室で休んでいるらしい。

マットで靴を脱ぎ、ドアを開けると、

妻がベッドに寝ていた。

点滴中で脱力しているが、顔はいつもの妻。

血色もいい。

お腹だけがぺたんと戻っていた。


そのお腹の中にいた彼が、

妻の脇に頭をもたげ、布にくるまれて寝てる。

ちいさいちいさい赤ちゃん。

口をパクパクさせて寝ている。

神々しいというか、儚いというか。

妻は当たり前のように添い寝してるけど、

それ、赤ちゃんやで。

今までおらんかった僕らの子やで。


看護師さんが、抱くように言ってくる。

抱ける?

持ち上げると崩れてしまいそうやで。

どこから持てばええんや。

「頭と首を支えて…」

看護師さんはさすがプロ。

僕の腕にさっと乗せる。

バランスが悪いからか、

赤ちゃんは体を伸ばし、

声を上げて泣こうとする。

こんなとこで泣かれたらいやや。

初抱っこで嫌がられたくない。

腕をずらして、わが子のベストポジションを探す。

そしたら、すーっと寝入ってくれた。


なんて、かわいい。

心の底からかわいいと思った。

なんか、会うのは初めてやのに、

初めましてな感じではなく、

抱いていると心が安らいだ。

僕の腕の中で気持ち良さそうに寝る赤ちゃん。

待ってたんや、僕はずっと。

今まで想像していたよりも最高の時間。


面会は30分。

病院を出て仕事に向かう。

見上げると夏の終わりの、秋へ向かう青空。

清々しい晴れの日にわが子は生を受けた。

いや、

生を受けたのは、もっと前や。

ずっと妻のお腹におって、

一緒にドライブ行ったり、

旅行に行ったり、

食事したりしてたな。

やっと、出てきてくれたんや。

この日を選んで。

8月31日。

家族がひとり増えた記念日。

それは、わが子の誕生日。


職場からの帰りに、兄弟親戚に報告。

夜に、再度病院へ。

両家両親も来てくれた。

僕は、妻に櫛やオイルを届けに行ったんやけど。


赤ちゃんの部屋で、わが子は寝ていた。

やっぱりかわいい。

両親もみんな、かわいいって言ってくれた。

ほんまにそう思う。

そら、親からしたら自分の子はかわいいやろう。

せやけど、そんなことどうでもええ。

こんなかわいい赤ちゃんが僕の子やなんて。

有難いなぁ、

ラッキーやなぁ、

もったいないなぁ。

幸せに心が満ち満ちて行く。

結婚したときのとは、また違う幸せの感覚。


妻は衰弱したままで、

病院からのご馳走もほとんど食べられない。

せやから僕がいただいた。


そのとき聞いた、出産までの壮絶エピソード。

正直、妻が痛みに耐えられるか不安やった。

でも、妻はやってのけた。

いつもすぐに根を上げる妻が、

今日は一番かっこいいと感じた。

助産師さんにも、すごい馬力があるとかで、

何の職業なんですかと聞かれるくらい。

妻の底力は、大したもんや。

本日の、熱盛ぃぃぃぃぃぃ!

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